やぶにらみ気まぐれmemo

読んだ本、観た映画などなどの徒然日記

本「流されゆく日々」五木寛之

 

流されゆく日々(1)1975.10~1976.6 (双葉文庫)

流されゆく日々(1)1975.10~1976.6 (双葉文庫)

 

 五木寛之のエッセイはどれも面白い。

半分は昔を懐かしみ、感傷的な気分に浸りたいときに手にするのだが、時代を捉える著者の感性は瑞々しさに満ちている。著者の本はどれも文学ではない。それは本人が意識してテーマを選んでいるからかもしれない。とにかく、大衆小説なのだ。どんな苦労もペースを乱さずにいつも軽い筆致で書ける人はそうそういない。だからこそベストセラー作家なのだろうけれども、時代に流されないベストセラー作家のすごさを感じる。印象的だったのはモハメド・アリとの対談でのアリの話。

「ブラック、 という のは 単に 黒い と いう だけの こと では ない ん です。 白い 砂糖 菓子 の こと を エンジェル・ケーキ と 言う でしょ う。 白 は 善 な ん です。 脅迫 状 は ブラック・メール、 闇市 は ブラック・マーケット、 つまり ブラック という 語感 に 白人 社会 は 悪 と 汚れ の イメージ を つけ加え て き た と 言っ て いい。 そう 思い ませ ん か」

アリへの印象が変わった。考えさせられた。