やぶにらみ気まぐれmemo

読んだ本、観た映画などなどの徒然日記

映画「日本のいちばん長い日」

 

 毎年恒例の終戦の日の鑑賞。

何度見ても面白い。本当に名作だなぁ。

今回は顔のクローズアップが多いことが印象に残った。それに耐えた俳優陣の顔の演技力が素晴らしい。

あと演出でしびれたのが高橋悦史が東部軍の参謀本部に説得に行ったときの最後のシーン。フレームの外から三人がフレームインしてくるのだが、セリフを省略し、その歩き方と構図だけでそのシーンの意味を演出する。

高橋悦史は60歳で亡くなっているんだな。好きな顔の役者だったのに残念。

しかし、天本英世は演技が地かわからない演技がすごいな。

死神博士の印象が強いからかな・・・。

映画「ローマの休日」

 

 5回目ぐらいかな。

しかし、オードリー・ヘプバーンが美しい。いや、美しいという言葉より魅力的といったほうが近い。美しいだけの女性はたくさんいるけど魅力的な女性はそうそういるもんじゃない。魅力の質が違うけど、他に美しいだけではないと感じる女優さんで思いつくにはビビアン・リーぐらかな。

この映画がいつまでも愛され続けるのは、単なる恋愛映画ではないからだね。だって、恋愛映画としてはハッピー・エンドではないし。みんなは王女の成長物語として愛しているのだと思う。そういう意味でクライマックスはラストの会見シーンではなく、お城に戻って大使に「義務を説く必要はない」というシーンだ。これからの人生を王女として生きていくこと、恋愛、自由とは決別し、人民とともに生きていくことを覚悟したシーン。そういう意味では王女に人権は無いんだね。可哀そうだな。

映画「三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実」

 

 いやぁ~~、面白かった、珍しく最後まで観るのをやめられなかった。

全共闘と同世代ではないし、その思想に共感するわけでもないが近い世代としては何かしらの引っ掛かりはあって、この映画も観ておかなければという思いがあった。

三島由紀夫については、後になって思い出したことだけれど、ある秋の日に普段は紳士的な国語の教師が妙に興奮していて、授業中によそ見をしていた私の胸倉をつかんだことがあった。その日はまさにあの日だったのだ。田舎の学校ではあったけれど、その田舎教師にさえ三島は計り知れない影響力を持っていたんだな。

映画の中での途中の議論は、今となってはわけのわからないこと、というかどうでもいいと感じてしまうことが多いけれど、昔の学生はそれなりに余裕もあったのだなとも感じた。登場する芥なる人物の発言は面白かったけど、やっぱり「これじゃダメだな」と感じさせられた。

昔、中野翠氏が「いちご白書をもう一度」に激怒している文章を読んだことがあったけど、怒るのは筋違いというもので、一歩外から観れば当時の学生の真面目さは認めるにしても社会に与えた負の影響を考えれば、その幼稚さは責められてしかるべきと、今でも思う。このあたりは三島が言った「熱情だけは信じる」と同じ感覚だ。

しかし、普段映画を途中で観るのをやめることが多いけど、これには最後まで引っ張られたなぁ。三島は本当に魅力的だ。

本「一度きりの大泉の話」

 

 正直に言って文章はあまりこなれていないし、くどいと思わせることもしばしばだ。

しかし、面白い。著者を取り巻く状況に対する、著者の、ある意味で人生を賭けた大演説である。

この本を読むと著者がサイコパス的な資質を持っていることがわかる。感応しすぎるサイコパスとでもいうのだろうか。(それをサイコパスというのかどうか知らないが)

とにかく普通の感性ではない。普通の感性でここまで書けるわけがない。

ともあれ、この本で名前だけは知っていた天才と天才の面白い関係を楽しませてもらった。これから、じっくり漫画でも楽しませてもらおうか。

本「ソニー再生」

 

 サクセス・ストーリーだから面白いと言ってしまえばそれまでだけど、面白かった。

多様性に揉みこまれた人間はここまで芯があり、たくましい人間になれるのか。

引き際から何から、経営者たるものこうありたいという理想をそのまま実践していることに驚かされる。それも平然と。

おそらくは普通の人間であれば裸足で逃げ出したくなることもあっただろうし、そこを描写すれば手に汗握るヒーローものの一節が書けたかもしれない。が、それは意識して書かなかったのだろう。そこが著者のセンスであり、照れなのだろう。

スマートな社長人生といってしまえばそれまでだが、スマートにやりきったところがすごい。そしてもっとすごいのはこの人物を見出した経営陣だ。

本「少年の名はジルベール」

 

 竹宮氏と萩尾氏。

特に少女漫画ファンではないのだが、二人の名前は折に触れ耳にしていた。

お互いに才能を認め合っていても、人と人の関係はまた別のものなんだな。

二人の自伝を読むことにして、最初がこの本。

”大泉サロン”といわれた実態が少し理解できた。なんといってもプロデューサー的立場の増山氏の存在が面白い。

 

映画「グリーンブック」

 

 久しぶりに上質なハートウォーミングな映画を堪能した。

ストーリーは全然違うけどクリスマスつながりで『素晴らしき哉、人生!』を思い出した。

なんといっても主人公のキャラクターの”作り方”が素晴らしい。正統派ヒーローとは違う。感情移入しきれないギリギリのところでこの主人公を客観的にみる余地を残しているが、それが少しずつ溶けていくような、なんとも言えない心地よい快感をもたらす。

最後のパンクを指摘する警官の自然な態度が泣かせる。人間は変われるのだ。

クリスマスの定番になるのだろうな。

何度も観返したい映画だ。