やぶにらみ気まぐれmemo

読んだ本、観た映画などなどの徒然日記

本「安部公房とわたし」

 

安部公房とわたし

安部公房とわたし

 

 高校生の頃だっただろうか。安部公房をけっこう読んだ。当然意味など理解できるはずもない。だが、世の中には文学の形を借りて面倒なことを伝えようとする人がいることを知った。

山口果林と愛人関係にあったことはこの本で初めて知った。亡くなった頃には興味を失っていたからだろう。

 

本の前半には1960年代から70年代前半の学生運動とは距離のある、だが時代の空気がたっぷり染み込んだ描写が味わえる。私には縁が無かったがあの時代の演劇が持つどことなく屈折した、しかし、何かを追い求める情熱だけは持っている人々を感じる。

しかし、演劇をやるということは私にとってはやっぱり特別でどことなく照れ臭いことなので、それにぶつかっていく人々は眩しくも、違う世界の住人という気がしてしまうのだよなぁ。。。

山口果林さんは大人の色気の出せる女優として好きなのだけど、難しそうなひとだよな。つまりは安部公房とお似合いなのだろう。

最後になるけど、出だしとラストの構成が面白い、いい本です。