藤圭子が命を絶ったニュースを聞いて、思わず買った本。
何故か買った当時は読む気にならず、今更のように読了。
沢木耕太郎の本は若い頃に何冊か読んだ。内容は覚えていない。
デビュー当時はドキュメンタリーの旗手としてジャーナリズムでもてはやされていた記憶があるが、前面にしゃしゃり出ることもなく、スキャンダルもなく、本から感じる誠実な人柄を想像していた。
この本は全てが会話で構成された珍しい、というか特殊な本だ。
この手法からも著者の誠実だが、ジャーナリストとして欠かせない冒険心に富んだ気質を感じる。
それはいいとして、藤圭子だ。
もちろん自分の中のイメージは幼い頃に観ていたテレビだけでつくられている。
それと若い頃に読んだ五木寛之の「怨歌」のイメージ、あとは宇多田ヒカルが出てきたときの母親像か。
読後の率直な感想は見た目とあまりギャップが無さそうだということ。
芯があるけど、脆い感じ。
引退の直接的な原因がのどの手術だったことはこの本で初めて知った。
歌手としては一時代を築いたというよりは、歌謡界で独自の世界を築いたのではないか。個人的に大ファンというわけではないが歌声には魅力を感じる。
若い頃に世代を貫く歌を歌っていたので、歳を取ってからの歌を聴きたいということはない。
まさに「流星」をひとつ見送ったという想いが残った。