なぜこれまでマルクスを読まなかったのか。
興味が無かったわけではない。読んではいけないものと最初に刷り込まれ、それを放置してきた結果だ。
なぜ、読んではいけないものと刷り込まれたのか?
1970年代に十代を過ごしたものにはわかるであろう一つ上の世代への嫌悪感とその世代が憑りつかれた思想の構築者としての名声ゆえだ。そしてあらゆるメディアを通して浴びせられた反共産主義のシャワー。
これらを通して、なおマルクスを読む気になるであろうか。経済を専攻するならば必読の著者であろうが。いや、哲学もか。
とまれ、この名前には何か呪術的なもの、誤った思想を植え付けられてしまうものとの烙印が押されてしまったのだ。
そして、今、この本を読んだ(若者ではないけどね)。思想界ではなく、人々が実際に生きる世界を動かした、そして悲劇的な終焉を迎えた思想の構築者の姿に少しだけ手を触れた。
世界を動かした思想とは何か、やはり死ぬまでに理解できないまでも触れることは「やっておかなければならないこと」なのだと思った。