やぶにらみ気まぐれmemo

読んだ本、観た映画などなどの徒然日記

本「村上春樹にご用心」

 

村上春樹にご用心

村上春樹にご用心

 

 35年ほど前に村上春樹さんと川本三郎さんが共著として出した「映画をめぐる冒険」という本がある。お二人が観た映画の寸評を集めた本なのだが、この本がとても好きで折に触れて読み返している。

この本の中で村上さんはリチャード・ギアを評して「何かが欠けているととはわかるのだけれど、何が欠けているのかは自分でもよくわからない、というタイプの役をやらせるとうまい」と書いている。最初にこれを読んだとき、うまいこと言うなぁと思ったことを今でも覚えている。

今、内田さんによるこの本を読むと、村上さんのリチャード・ギア評はそのまま初期の村上作品の主人公ではないかと思った。

そして、内田さんが書いているように村上作品は「共有したい何かがあるのだけれど、それが何かわからない」というもどかしい気持ちを心のどこかに抱く人々を引き付けるのではないだろうか。そしてそのような気持ちを抱える人々は世界中にいるのだろう。