是枝監督の作品は「海街diary」が好きで、三回くらい観たかな。
この作品もそれなりに期待したのだけれど、どうにもいかんかった。
出ている役者さんの演技は申し分ないと思う。ただ、テーマが感動につなげるには難しく、ストーリーからは映画に期待した感動は感じられなかった。
映画のキーワードは最後の福山のセリフの”器”だと思う。
福山は最後に役所広司が人間としての”自我”を持たないただの”器”であることに気が付く。三度目の殺人とは役所自身による自分殺しである。冒頭のシーンで役所が殺したことは間違いないし、ためらいもなく殺人ができることが役所が普通の人格を持っていないことを示している。広瀬すずとのエピソードで観客は役所に人間らしさを感じるようミスリードさせられるが、役所は”器”として反応したにすぎない。
いろいろあるが、テレビで十分な作品だと思う。ただ、テーマ性からテレビ局は制作しないだろうけど。