観るたびに胸にこみあげてくる映画がある。
昔買ったDVDで鑑賞。なんとまた封を切っていなかった。
まず、フランシス・レイの音楽、それに主人公の二人の美しさと1960年代のパリの街並み。
タイトルが性の手ほどきものとの誤解を与えているのは悲しい。
私はタイトルを「個人授業」と勘違いしていた。
タイトルを直訳すると「特別な授業」ということらしい。
邦題を考えた人は教授=先生ではなく、=授業と考えたのだろう。きっと。
主人公のルノー君は決してオクテではない。まだ高校生のくせに家政婦のクリスティーヌとの秘め事を楽しんでいる。
ただし、心はまだまだ子供で人を愛することの寂しさを経験したことがない。
リゾート地の駅に迎えにいくが中年男(つまりは少年がかなわない相手)同伴であると勘違いした後のルノー君の初めて嫉妬に苦しむ少年の表情が素晴らしい。
ルノー君の「学生集会に行く」というセリフも時代を感じさせる。
この映画は少年が人を愛して大人になる過程をパリの街並みの中で瑞々しく描いた映画である。ナタリー・ドロンがとても美しい。その美しさゆえ、ラストシーンのルノー君の表情が胸に迫る。彼は大人になったのだ。
音楽と映像の幸せな邂逅を存分に堪能できる。
YouTubeではこれが最高。