やぶにらみ気まぐれmemo

読んだ本、観た映画などなどの徒然日記

映画「卒業」

 

三回目くらいかな。

大昔に見たときにも、ミセス・ロビンソンアン・バンクロフト)は十分に魅力的だったけど、今観ると、さらに若さを感じる。ああ、時の流れよ。

まだ艶っぽさはたっぷりで、ベン(ダスティン・ホフマン)が溺れるのもうなづける。

昔この映画のことをタイトルにした「ダスティン・ホフマンになれなかったよ」というこの映画のことが全くわかっていない曲があった。ラストシーンは花嫁を奪えてハッピーエンドと喜んでいられる状況ではなく、ベンの不安気な表情はこれから二人が揉まれていくであろう世間の荒波を感じさせる。いっせいに振り向いているバスの乗客の視線はまだ保守的な社会の眼なのだ。二人はこの社会を家族の助け無しで生きていかなくてはならないのだ。ダスティン・ホフマンになれなかったことを悔やむような柔な男はなれなくてよかったね、なのだ。

今回印象に残ったのは、ベンとロビンソン夫人のベッドでの会話だった。昔の話を聞きたがるベン。夫人の学生生活や結婚のいきさつを根掘り葉掘り聞きたがる。芸術を専攻していたが、妊娠したことでその夢が破られたことを語る夫人。ベンには見えない向きで見せる自分の夢を追えなかった過去の苦い青春を思い出すときの夫人の切ない表情には心が締め付けられた。この後に描かれる夫人は悪者扱いだけれども、どこかで自分の青春を語るシーンを入れて欲しかったなぁ。