やぶにらみ気まぐれmemo

読んだ本、観た映画などなどの徒然日記

映画「三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実」

 

 いやぁ~~、面白かった、珍しく最後まで観るのをやめられなかった。

全共闘と同世代ではないし、その思想に共感するわけでもないが近い世代としては何かしらの引っ掛かりはあって、この映画も観ておかなければという思いがあった。

三島由紀夫については、後になって思い出したことだけれど、ある秋の日に普段は紳士的な国語の教師が妙に興奮していて、授業中によそ見をしていた私の胸倉をつかんだことがあった。その日はまさにあの日だったのだ。田舎の学校ではあったけれど、その田舎教師にさえ三島は計り知れない影響力を持っていたんだな。

映画の中での途中の議論は、今となってはわけのわからないこと、というかどうでもいいと感じてしまうことが多いけれど、昔の学生はそれなりに余裕もあったのだなとも感じた。登場する芥なる人物の発言は面白かったけど、やっぱり「これじゃダメだな」と感じさせられた。

昔、中野翠氏が「いちご白書をもう一度」に激怒している文章を読んだことがあったけど、怒るのは筋違いというもので、一歩外から観れば当時の学生の真面目さは認めるにしても社会に与えた負の影響を考えれば、その幼稚さは責められてしかるべきと、今でも思う。このあたりは三島が言った「熱情だけは信じる」と同じ感覚だ。

しかし、普段映画を途中で観るのをやめることが多いけど、これには最後まで引っ張られたなぁ。三島は本当に魅力的だ。

本「一度きりの大泉の話」

 

 正直に言って文章はあまりこなれていないし、くどいと思わせることもしばしばだ。

しかし、面白い。著者を取り巻く状況に対する、著者の、ある意味で人生を賭けた大演説である。

この本を読むと著者がサイコパス的な資質を持っていることがわかる。感応しすぎるサイコパスとでもいうのだろうか。(それをサイコパスというのかどうか知らないが)

とにかく普通の感性ではない。普通の感性でここまで書けるわけがない。

ともあれ、この本で名前だけは知っていた天才と天才の面白い関係を楽しませてもらった。これから、じっくり漫画でも楽しませてもらおうか。

本「ソニー再生」

 

 サクセス・ストーリーだから面白いと言ってしまえばそれまでだけど、面白かった。

多様性に揉みこまれた人間はここまで芯があり、たくましい人間になれるのか。

引き際から何から、経営者たるものこうありたいという理想をそのまま実践していることに驚かされる。それも平然と。

おそらくは普通の人間であれば裸足で逃げ出したくなることもあっただろうし、そこを描写すれば手に汗握るヒーローものの一節が書けたかもしれない。が、それは意識して書かなかったのだろう。そこが著者のセンスであり、照れなのだろう。

スマートな社長人生といってしまえばそれまでだが、スマートにやりきったところがすごい。そしてもっとすごいのはこの人物を見出した経営陣だ。

本「少年の名はジルベール」

 

 竹宮氏と萩尾氏。

特に少女漫画ファンではないのだが、二人の名前は折に触れ耳にしていた。

お互いに才能を認め合っていても、人と人の関係はまた別のものなんだな。

二人の自伝を読むことにして、最初がこの本。

”大泉サロン”といわれた実態が少し理解できた。なんといってもプロデューサー的立場の増山氏の存在が面白い。

 

映画「グリーンブック」

 

 久しぶりに上質なハートウォーミングな映画を堪能した。

ストーリーは全然違うけどクリスマスつながりで『素晴らしき哉、人生!』を思い出した。

なんといっても主人公のキャラクターの”作り方”が素晴らしい。正統派ヒーローとは違う。感情移入しきれないギリギリのところでこの主人公を客観的にみる余地を残しているが、それが少しずつ溶けていくような、なんとも言えない心地よい快感をもたらす。

最後のパンクを指摘する警官の自然な態度が泣かせる。人間は変われるのだ。

クリスマスの定番になるのだろうな。

何度も観返したい映画だ。

映画「最後の脱出」

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50年も前から温暖化は警告されていたんだな。

公害、格差、パンデミック、利己主義、現在抱える課題のほどんとがこの映画には網羅されている。

今に至るまで解決できないでいることは人類が健全に発展することのできない本質的な欠陥を抱えている種であることの証明なのかもしれない。

と深刻になってばかりいてもしょうがないので、今日も明日も面白い本と映画に出会えるよう彷徨うのだ。

マッドマックスの萌芽をこんなところに見つけてしまった。だけど演出はやっぱりのんびりなんだよなぁ。

本「ペルソナ 脳に潜む闇」

 

ペルソナ 脳に潜む闇 (講談社現代新書)

ペルソナ 脳に潜む闇 (講談社現代新書)

 

 

やはりどこか”普通”じゃないな、という感じ。

それは本書を読めば本人が一番よくわかっていることがわかるのだが。

しかし、ここまで自分のことを書けるというのはすごい。家族とのこと、友人関係とのこと。普通の神経では書けないと思う。

まあ、ひと昔前には私小説という分野があって、赤裸々に自分をさらけ出すことに意味があるとされた文学もあるのだが、それは小説家としての生きる術としてのものだったと思う。

ただ、とても面白かったし、著者がどう思っているか知らないけれど、この本を読んで救われる人は少なからずいると思う。

印象にに残ったのは著者が研究生活の中で、夜の大学内を散策するシーン。自分はここまで闇と親密にはなれないと思う。夜の構内を散策する著者。私にはこのシーンで著者の像が刻み付けれられた。