映画があまりにも素敵すぎて原作の漫画を一気読み。
映画が原作をリスペクトしていることがよくわかった。
しかしあれ以上のキャスティングはないだろう。
それほど多くはないであろう人間関係が描かれるが、それぞれのキャラクターの心情がこちらの心に自然に沁みてくる。
登場人物に悪人がいないことも心地がいい。それにしてもさりげない日常を描きながら、人生の機微を表現することのうまさよ。
映画も何度も観返しているが、いつまでも読んでいたい作品だった。
当時はたまに読んでいた程度でしかも面白いともなんとも思わなかった。
そりゃそうだ、中学生にもなっていない子供にこんな青春期の未消化なドロドロした思いを受け止められるわけがない。
では、今読んで面白いかと言われれば、当時の風俗描写のところに惹かれる程度。
しかし、こんな私小説ならぬ私漫画をよく連載したな、マガジン。
そこには当時の青年向けの編集方針があったのかもしれないが、こんな連載を載せてたら売れるわけがない。(笑)
調べたら、やっぱり松本零士が33歳のときの作品。
「セクサロイド」はこれより先らしいが、女性のキャラクターは無茶苦茶で、いわゆるリビドー全開のストーリー。
下宿屋のおばさんと中華料理のおやじに救われる。
やっぱり、ハンフリー・ボガートはかっこいいや。
演出のテンポの良さは製作された時代を忘れさせる。
謎解きの醍醐味は今ひとつだった。たしかに相棒が撃たれるシーンの表情がヒントになってはいるのだけれど、まさかね、の結末。
拳銃の扱いの軽さにかなり違和感を感じたのだけれど、米国人は違和感はないのだろうか。ラストのボガートが探偵稼業の矜持を語る場面ではジーンとさせられる。