さすがウォルター・ヒル!
初期の作品だけど、濡れた路面といい雰囲気はばっちり。
なぜ今まで観なかったのだろう。
スターは出ていないけれど、スタイリッシュでかっこいい。
アクションもいいけど、主人公と女が交わすセリフに当時の時代の雰囲気が沁み込んでいて、いい。
ラストシーンもかっこいいし、いいぞウォルター・ヒル!
検索してもCDしかヒットせず。DVDは出ていないのか。
そこそこ面白かったけど、「クレイマークレイマー」という名作を知っているせいか「今更?」という感じ。
お金の苦労話が少しはさまれるけれど、所詮金持ち同士のわがままな自我のぶつかり合いの末の子供を犠牲にした痴話喧嘩の域を超えてはいない。
別れの原因を考えると「クレイマークレイマー」のほうが余程普遍的な現代性、奥の深さを持っている。
もう少し子供の屈折ぶりを出すとかしないと物語自体が硬直してしまって、どうしようもない感じ。
しかし、ここまで初老の男の好色ぶりを描かなければならない理由はなんなんのだろう。監督自身を含めた世の中の初老の男なんて、仲間内になればこんなえげつない会話をしているのだということをここまで知らしめなければならないのだろうか。
答えとして考えられるのは、自分を含めた男たちの贖罪だ。男なんてのはいくつになってもこんな下世話なことしか考えていないのだということ。そしてそれは真実であるがゆえに男はたまらんよ。
それはさておき、この親子関係というのは当時の父娘の在り方としてどんなものなのだろう。普通なのだろうか。ここがわからないのでどこかモヤモヤしてしまう。しかし、ここまでのファザコンが当たり前とも思えないよなぁ。う~ん、わからん。
kindleのunlimitedであることをいいことに新までの全26巻を一気読み。
我ながら何をやっとるんだという気分、だが、一気に読ませるものがあった。
リアルタイムで読んでいただけに大まかな筋はわかっているつもりだったのだが、これほどまでにグズグズした展開だったとは。
おそらく今の若い人には読めないだろう。読めたとしてせいぜい3巻あたりまでか。
とにかく自己韜晦の繰り返しで、この拷問のような繰り返しがそのうちクセになってしまうのだ。自虐、自己嫌悪の沼にはまり込んでいく主人公。小説にしたら芥川賞の候補になりかねない。
おそらくは時代が書かせた作品なのだ。当時の三無主義を知る人にはわかるかもしれない。読んでいるうちに主人公がかわいくなってくるのが不思議だ。
自分の中をぐるぐる回ってみたい人にはお勧めって、そんな人はいないか。
当時の気分はたっぷり味わえました。
やっぱり落ち着くなぁ。
テーマそのものは初老の男にとっては少々すわりが悪いというか、居心地が悪いというか、初老を迎えた男の下品さを露悪的に描いていて決して落ち着いて観ていられるわけではない。若い嫁をもらった友人に対するコメントの恥知らずぶりは本当に初老の男の厭らしさを容赦なく描いていて、監督の「こういうやつらは本当に嫌だね」という言葉が聴こえてきそうだ。そこから一線を画す笠智衆だけには娘の結婚を通して、戦争を経験した男に対して労わるような眼差しを向ける。
しかし、息子の佐田啓二のゴルフクラブに対する子供のような執着の描き方など、男に対する目には厳しいものがあるなぁ。
あと観るべきは岩下志麻の美しさ。しかし絵にかいたような美人とはこうい人をいうのだろうか。
いろいろあるけど、観ているだけで落ち着くこの味は何物にも代えがたい。