やはりどこか”普通”じゃないな、という感じ。
それは本書を読めば本人が一番よくわかっていることがわかるのだが。
しかし、ここまで自分のことを書けるというのはすごい。家族とのこと、友人関係とのこと。普通の神経では書けないと思う。
まあ、ひと昔前には私小説という分野があって、赤裸々に自分をさらけ出すことに意味があるとされた文学もあるのだが、それは小説家としての生きる術としてのものだったと思う。
ただ、とても面白かったし、著者がどう思っているか知らないけれど、この本を読んで救われる人は少なからずいると思う。
印象にに残ったのは著者が研究生活の中で、夜の大学内を散策するシーン。自分はここまで闇と親密にはなれないと思う。夜の構内を散策する著者。私にはこのシーンで著者の像が刻み付けれられた。