やぶにらみ気まぐれmemo

読んだ本、観た映画などなどの徒然日記

本「沈む日本を愛せますか?」

 

沈む日本を愛せますか? (文春文庫)
 

 10年前のインタビュー集なので当然ネタは古いが面白かった。

特に日本が振り回された小沢一郎の語りは秀逸。

今思えば、確かに小沢は政治をしたいのではなく、政局に生きがいを見出していたとしか思えない。

タイトルに「沈む」とあるが、感覚的には「縮む」という感じかな。

縮むことによって、生き延びる道ができると思うのだけれど。

TV「アポイの休日」

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脚本に松山善三の名前を見て、鑑賞。

高峰秀子の夫なので名前が知られてはいるが、知名度ほどの代表作が無いというイメージだったかな。このドラマを観て、「確かに」という印象。

何が確かかというと、なんというのか、思わせぶりで終わってしまうという感じ。

人物構成から「ミツバチのささやき」的な展開を想像していたのだが、さにあらず。では、少女と初老の男との交流を独自の切り口で描くかというとさにあらず。

昆虫の描写が印象的で、ネイチャーものかというとさにあらず。

まあ、煮え切らないよくわからないドラマだった。いわゆる当時の「芸術祭参加仕様」とでもいうのでしょうか。

心に残ったのは、死んだミツバチを手にしたときの宇野重吉のセリフ。「こいつらは死ぬときがきたから死んだんだ。働いて働いて、なんのために生きたかなんて考えず、ある日疲れてポトリを落ちて死んでいく、満足してな。」

昭和40年の作品だし、高度経済成長を支える働きバチをイメージしたのものだろうな。

ともあれ、少女役の子は可愛かったです。

映画「その土曜日、7時58分」

 

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 公開は2008年らしいが、知らなかった。監督がシドニー・ルメットと知って、まだ生きているのかと驚いたら、これが遺作だったんだな。

ともあれ、けっこうな拾い物。監督のシドニー・ルメットの作品では、「評決」を公開当時見に行った記憶があり、骨太な社会派というイメージをもっていた。なんといっても「12人の怒れる男」という名作があるし。

この映画はストーリーも面白いが、なんといってもフィリップ・シーモア・ホフマンの映画だろう。この屈折した主人公に見事にはまっている。

原題の「Before the Devil Knows You're Dead」は意味がよくわかないが、アイルランドの詩からの引用で、死ぬときは悪魔に悟られる前に(天国に行かなければ)という意味らしい。主人公の父親は、悪魔に知られてしまったというわけか。

長生きしていりゃ、いいことばかりではないよ、ということかな。

とにかく。構成、編集がうまくて面白かったです。

映画「突入せよ!「あさま山荘」事件」

 

 「クライマーズ・ハイ」に続いて鑑賞。

全体的な感想はほぼ「クライマーズ・ハイ」と同じ。

実際の事件に対しては、政治的な意味はわからないまま、子供心に大変な事件が起こっている、と感じたことだけは記憶に残っている。

しかし、現場がここまで混乱していたとは。

原作者の佐々淳行氏の経歴を読むと幾多の修羅場を経験していることを改めて知った。やはり修羅場をくぐった人の説得力は違うのだよなぁ。

今の政治家に修羅場をくぐった人物がどれほどいるのか、つい思いをはせてしまう。

宇崎竜童もよくやっているが、もう少し厚みの出る役者はいなかったものか。

映画「クライマーズ・ハイ」

 

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 いやぁ、面白かった。

観るのは二度目なので、あきたら途中で止めようかと思ったけれど最後まで目を離させなかった。カットバックなどがちょこちょこと入るけれど、シナリオが練り込まれているため不自然さを感じさせない。

事故そのものも会社に入社した年の夏のレクかなにかの合宿でテニスか何かを楽しんで宿に戻った直後にニュースが飛び込んできたことを鮮明に覚えている。

最初に観たときは事後そのものに気持ちが引っ張られていたが、今回はこの映画が持つ普遍的な何かを感じながら観てしまった。

それほど深いものではないが、仕事の上でのこだわりのぶつけ方など、何故かひきつけれられた。悪役をつくっていないのもいい。

しかし、映画の上でのカメラワークと編集の重要性を再認識させられた映画だった。

役者も今をときめく役者の若い頃の演技が楽しめた。

映画「首都消失」

 

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 日本のエンタテインメント映画が底辺をうろうろしていたころの作品。

期待を裏切らない質の低さ。わかっちゃいるけど何しろ小松左京原作なので。

本当に小松左京作品は映画化されるときのスタッフに恵まれないなぁ。

「誰が悪いのか今もわからない、誰のせいなのか今もわからない♪」という感じ。

歌のシーンは恥ずかしすぎて映画館で観ていたら顔を伏せてしまいそうだ。

人間ドラマ、SFセンス全ての質が低い。ただ、俳優陣に責任はないと思う。

 

大滝秀治は可哀そうで観ていられない。丹波哲郎はいつもの通り。

岸部一徳はこのころから俳優業をしていたんだな。

唯一リアリティを醸し出していたのが財津一郎。(笑)

自分が出る場面をさらう演技はさすがだ。

子供には怪獣が出てこない不満を、大人にはリアリティの無さに不満を持たせるどっちつかずの映画だった。

映画「誰が私を殺したか?」

 

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 思い返してみれば、ベティ・デイビスの映画をじっくり鑑賞したことがなかった。その名前は洋楽のタイトル「ベティ・デイビスの瞳」(61) キム・カーンズ Kim Carnes/ベティ・デイビスの瞳 Bette Davis Eyes (1981年) - YouTubeで知ってはいたけれど。

それはそれとしてミステリー好きにはぞくぞくするタイトルだ。

内容は、アイデアは面白いけれどつっこみどころ満載という感じ。

ただし、暗証番号やサインの処理など主な穴はきっちり塞いでおり、そのプロットはその後日本でも量産されるサスペンスもののパターンの一つといっていい。

しかし、主人公の性格を考えると今一つ動悸に説得力がないのが惜しい。

ベティ・デイビスにもう少し妖艶さが残っていればもう少し魅力的な映画になったかな。しかし、ベティ・デイビスは画面に映っているときは延々煙草を吸い続けていたな。観ているこっちが煙たくなってきた。ジゴロ役の男優は当時シナトラ一家を破門になった後らしい。どうりでどことなく投げやりな雰囲気がよく出ていたな。