やぶにらみ気まぐれmemo

読んだ本、観た映画などなどの徒然日記

TV「阿修羅のごとく 虞美人草」

 

 昔、リアルタイムで観て以来。

しかし、これだけてんこ盛りの内容だったとは。

あらゆる不倫、浮気のパターンが網羅されている感じ。

向田邦子は不倫のデパートしてパターンを陳列するのを楽しんでいる気配がある。

佐分利信といい、緒形拳といい昔のTVは男優が充実しているなぁ。

女優陣も演技がうまい。加藤治子はさずがだし、風吹ジュンもうまい。

加藤治子と三条美紀のやりとりは迫力十分だったし、下駄箱のシーンでは笑った。

八千草薫はときどきセリフをとちっているけどあえてリテイクしなかったんだろうな、なにせ和田勉だ。意外だったのは宇崎竜童。なかなかの演技者だ。

重要なシーンの音楽にレインボーが使われていて、演出効果が抜群だったのにはびっくり。ただ、この作品の音楽といえばテーマ曲の「ジェッディン・デデン」につきる。これほど女の情念にぴったり合う曲はないのではないか。

映画「おくりびと」

 

おくりびと [DVD]

おくりびと [DVD]

  • 発売日: 2009/03/18
  • メディア: DVD
 

 二度目かな。

キャスティングがいい。もっくんは本当に演技がうまいな。いや、うまいかどうかはよくわからないけれど、観る人が好感を持てる演技ができる役者だと思う。コミカルな演技からぐっと心をつかむ演技まで演技の幅も広い。なんといっても目がいいと思う。

広末涼子もいい。決して好きな役者ではないけれど、この役は彼女でなければできないと思う。あの透明感がなければ映画全体のトーンが少し生々しくなってしまう気がするのだ。山崎努はいうことなし。あの深みと面白みは彼しか出せないのではないか。余貴美子もぴったりはまっている。出しゃばり過ぎないのがとてもいい。

要するに、この映画はキャスティングが決まった段階で成功を約束された映画なのだ。

一言いえば少し長い気がする。極端なことを言えば、もっくんがチェロを弾くシーンで終わってもいいくらいだと思うのだが。ま、いいか。

映画「チ・ン・ピ・ラ」

 

チ・ン・ピ・ラ  HDリマスター版 [DVD]

チ・ン・ピ・ラ HDリマスター版 [DVD]

  • 発売日: 2014/05/02
  • メディア: DVD
 

 若くして亡くなった金子正次の脚本ということで公開当時も話題になり、けっこうヒットしたはずだ。

残念ながら金子の主演作の「竜二」は未見だが、本作で才能が感じられる。ちょっと「スティング」の香りがするラストで、港の二人の演技にはやり過ぎ感があるけど、まあ、楽しめたのでいいとしよう。

若い頃に観て以来の二度目の鑑賞だけれど。思ったよりシナリオがしっかりしているのに驚いた。柴田恭平ジョニー大倉も好きな役者というわけではないけれど、まさにチンピラの悲哀をうまく出している。柴田恭平のキザであざとい演技もこの映画では丁度いい感じ。

あと感じたのは当時の風俗、風景の保存媒体としての映画の役割だ。今観ると日本の雰囲気がガラッと変わってしまったことに愕然とする。これが日本だったのか。という感じ。高樹沙耶のヌードが初々しい。

映画「ハード・コアの夜」

 

ハード・コアの夜 (字幕版)

ハード・コアの夜 (字幕版)

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 

 ジョージ・C・スコットのタフガイぶりが様になっててカッコいい。ハード・コアならぬハードボイルドの夜なのであった。

信心深い田舎の親父が娘のために都会の裏社会に潜入していくのだが、裏社会の人間よりもよほど強面なのがおかしい。

タイトル通り、描かれている当時のアメリカのポルノ業界の仕組みが面白い。いわゆる家出少女が食い物にされているのだが、ジョージの娘は業界に入ったことを後悔していない。このあたりも、いわゆるカウンター・カルチャーの影響なのだろう。

序盤の信心深い家庭の描写とのコントラストが効いてる。

やっぱり、ポール・シュレイダーだけにタクシー・ドライバーの雰囲気が漂っている。

社会の裏側に生きる人々への眼差しが感じられるのだ。

印象的だったのは、ニール・ヤングの「ヘルプレス」が流れるポルノショップのシーン。わびしさの極北をしみじみと感じてしまった。

映画「がんばれ!ベアーズ」

 

がんばれ!ベアーズ (字幕版)

がんばれ!ベアーズ (字幕版)

  • 発売日: 2018/05/07
  • メディア: Prime Video
 

 何度観てもいい映画だなぁ。

なんといっても、人生においてベストを尽くすことがいかに大切か、素晴らしいかを直球で描いているところがいい。

小生意気な子供たちも皆が可愛い。お気に入りのシーンはいじめられっ子がやられたのを見たチームの暴れん坊がやり返す、とはいっても返り討ちに会うのだが、シーンだ。いじめられっ子も素直なところがなんとも言えなくいい。屈折を持った子供も野球の前ではみんな素直だ。

観終わった後に、心が洗われた気分。映画はこうでなくては。

脚本家の他の作品には「遊星からの物体X」があるらしいが、こんなにも作風が違うとは。少し不思議。

映画「散歩する侵略者」

 

散歩する侵略者

散歩する侵略者

  • 発売日: 2018/03/07
  • メディア: Prime Video
 

監督が黒沢清、主演が長澤まさみ、ということで大した話題にはならなっ
かたことを知ったうえで、少しの期待を持って鑑賞。
なんてったって、「cure」は素晴らしかった。
もろもろのシーンで安い映画だなと思いつつ、途中から何これ?という感じ。
黒沢清といえどもこんな駄作をつくってしまうのか。。。

まあ、そもそもこれを映画として観ることが間違っているのかもしれない。
どこかの子供の妄想のコラージュとしてみれば、へェ~とかフ~ンとか言
えるかもしれないが、一応、総合芸術ともいわれる映画して評価しようと
すると、観るだけ時間の無駄、としかいえない。
シナリオはぐちゃぐちゃだし、長澤まさみの魅力を引き出せていない。
シナリオのダメさの一つの例はGPSで居場所を特定されるシーン。
そもそもあんな怪しいジジイの官僚から受け取ったGPSを後生大事に持っ
とくか?あんなもの常にONに決まってる。ここで大事なのはこのシーンで、
主人公の少しは目端の利くジャーナリストというキャラクターのリアリティ
が崩壊してしまうことだ。ストーリーがはちゃめちゃなのだからこそ、主人
公のリアリティは死守しなければならないのに。
私ならこうする。

受け取ったGPSを主人公は通りがかりの廃品回収のトラックの荷台に、
「こんなもの!」というセリフとともに放り投げる。トラックのボディには
派手なETの顔が書かれている。
シーンは宇宙人が交信しようとしている場面に切り替わる。いきなり襲撃を
受ける主人公はなぜ場所が漏れたのかわからない。逃げ惑ううちに、襲撃さ
れた場所から走り去る廃品回収のトラックを目撃する。そのボディにはETの
派手な顔が。
ここはゴミ捨て場で廃品回収のトラックの行きつく先なのだ。
主人公は天を見上げてつぶやく。「なんてこったい。」

もちろんETの顔は宇宙との交信をからめたギャグである。
わかる人にはわかるであろう。これはルパン三世1stシーズンの最終回への
オマージュである。
これくらいはして欲しいものだ。

なにはともあれ、長澤まさみへの気の毒さがだけが心に残った。
乗り移りのシーンは「エクソシスト」からインスパイアされたのかなぁ。

映画「三度目の殺人」

 

三度目の殺人

三度目の殺人

  • 発売日: 2018/03/07
  • メディア: Prime Video
 

 是枝監督の作品は「海街diary」が好きで、三回くらい観たかな。

この作品もそれなりに期待したのだけれど、どうにもいかんかった。

出ている役者さんの演技は申し分ないと思う。ただ、テーマが感動につなげるには難しく、ストーリーからは映画に期待した感動は感じられなかった。

映画のキーワードは最後の福山のセリフの”器”だと思う。

福山は最後に役所広司が人間としての”自我”を持たないただの”器”であることに気が付く。三度目の殺人とは役所自身による自分殺しである。冒頭のシーンで役所が殺したことは間違いないし、ためらいもなく殺人ができることが役所が普通の人格を持っていないことを示している。広瀬すずとのエピソードで観客は役所に人間らしさを感じるようミスリードさせられるが、役所は”器”として反応したにすぎない。

いろいろあるが、テレビで十分な作品だと思う。ただ、テーマ性からテレビ局は制作しないだろうけど。